ゴールデンウィークの後半のこの日、京都で4日間開催されている全日本剣道演武大会の3日目、
剣道の聖地・京都武徳殿で行われる、教士七段の先生方が出場された演武大会を見に行ってきました。
武徳殿の隣にある鉄筋コンクリート造の武道センターで行われる試合は何度か見に行ったことはあるのですが、
この重厚な木造建築物の武徳殿で行われる試合(演武)は見たことがありませんでしたので、とても楽しみにしていました。

剣道の演武の観戦の話の前に、仕事柄、「建築」のことが気になるので、この武徳殿という建物について調べてみました。
武徳殿は、今から約110年前、明治32年(1899年)に伝統武道の振興を図るために結成された大日本武徳会の演武場として建設されて以来、
武道の殿堂・聖地として武道家の憧れの地であるとともに、建物自体、国の重要文化財の指定を受けているほど評価の高い建築なのです。
Nikon D300
TAMRON 10-24mm F/3.5-4.5G 16mm
F4.2 1/8000 ISO1250
(室内での撮影用にセッティングしたまま撮影してしまったので、適正ではないです。)
では、武徳殿の中に入ってみましょう。

南側から建物内に入って正面を見たところです。
正面には唐破風の屋根のかかった玉座があり、皇室の方が観戦される際に使われるそうです。
この日は、立派な松の盆栽が置かれていました。(写真ではぼやけてよく分からないですよね?)
また、試合会場となる内陣の使い込まれた床が印象的でした。
まだ準備中で中に入りにくかったので、さっと手持ちで撮影しました。
暗かったこともあり、少しぶれてますので写真としてはいまいちですが・・・。
Nikon D300
TAMRON 10-24mm F/3.5-4.5G 10mm
F3.5 1/250 ISO1600
会場は準備中で人まばらで、建物のスケール感がこの写真ではよく分からないですよね?
でも、横からのアングルで見ると、この壮大な空間がよく分かります。

この角度から見ると、木造の巨大建造物「武徳殿」の内部構造やスケール感がよく分かると思います。
武徳殿のホームページには、「武徳殿の建築様式は伝統的和風建築をベースにしながらも、明治以後の洋風建築の影響を受けた『近代和風建築』となります。
(中略) 裳階(もこし)付きの切妻造の和風外観ながらも洋式の建物構造を採用しています。」と解説されています。
一見、純和風の伝統的な木造建築物に見えるのに、「洋風建築の影響を受けた/洋式の建物構造を採用」とは、何か?、気になりますね。
別の文献での解説を見ますと、和風建築では使われない「トラス」という工法を採用しているようです。
これだけ大きな空間を柱なしで飛ばしているので、相当大きな梁が天井の内部に隠れているのではないかと思いますが、
その部分がトラス構造になっているのではないでしょうか?
洋式の技術と和のデザインがハイブリットしてできたのがこの荘厳な空間なのでしょう。
そうでなければ、これだけ巨大な木造の無柱空間はなかなか作れないでしょうね。
格調高い格天井からは、ペンダント式の照明器具も吊り下げられていますが、何よりも四周に巡らされた「ハイサイドライト」(壁面の開口部)から差し込む光のため、
内部は予想以上に明るい空間です。
また、そのハイサイドライトからの光が、ヨーロッパの教会のステンドガラスから差し込む光のように、荘厳さを増幅しているように思いました。
まさに「聖地」と呼ぶに相応しい空間ですね。
Nikon D300
TAMRON 10-24mm F/3.5-4.5G 10mm
F3.5 1/250 ISO1600
上の写真では、試合会場の周囲に準備の人がいますが、それでもまだスケール感が分かりにくいですよね?

試合(演武)が始まった内部空間です。
東西で二面試合コート(手前と奥)が取れます。
選手の大きさと比較すると、玉座の唐破風屋根が如何に大きいか分かりますね。
Nikon D300
TAMRON 10-24mm F/3.5-4.5G 24mm
F5.6 1/100 ISO1250
さて、ここからは、先生方の演武を観戦しながら撮影した写真をご紹介します。
トータル500枚以上はシャッターを切ったかと思いますが、予想以上に明るかったとはいえ、やはり室内なので暗く、撮影難度は高いです。
500枚のうち、そこそこ撮れているのは半分以下でしょうか?
その中から、何枚かご紹介します。(全部掲載できないのが残念ですが。)
(私は、東側の観覧席に座っていましたので、「東の部」(第一試合会場)の対戦写真しかありません。)

こちらは、奈良県の鎌塚いづみ先生(左)です。
演武される先生方は、赤白のたすきをつけないんですね。
審判の先生方も、ブレザーに赤いネクタイではなくスーツ姿で、赤白のたすきがないので、もちろん赤白の旗も持たれないんですね。
すべてが初めてづくしで、いろいろ勉強になります(笑)。
Nikon D300
TAMRON 10-24mm F/3.5-4.5G 10mm
F4.5 1/160 ISO1600

続いて、こちらも奈良県の谷健一先生(左)です。
ハイサイドライトから差し込む光がちょうど顔に当り、薄暗い空間の中に人が浮き上がるような感じに見えます。
光を計算し尽くした空間の美しさを感じ、鳥肌が立ちました。
Nikon D300
SIGMA 50mm F/1.4
F2.2 1/640 ISO1250
ここから先は、いい写真が撮れた対戦の中から、私のセレクトでランダムにご紹介させていただきます。

こちらは、埼玉県の渋谷先生(右)です。
Nikon D300
SIGMA 50mm F/1.4
F2.2 1/320 ISO1600

こちらは、東京都の青木先生(右)です。
Nikon D300
SIGMA 50mm F/1.4
F2.2 1/320 ISO1600

こちらは、東京都の小笠先生(左)と兵庫県の天野先生(右)の相い面の瞬間です。
Nikon D300
SIGMA 50mm F/1.4
F2.2 1/500 ISO1000
さて、「この日の一枚」はこちらを選びました。

右側の白い道着は、東京都の鈴木先生です。
薄暗い会場に、白い道着が映え、とても気に入っている一枚です。
Nikon D300
SIGMA 50mm F/1.4
F2.2 1/1250 ISO1250

こちらは、東京都の小野澤先生(左)です。
Nikon D300
SIGMA 50mm F/1.4
F2.2 1/320 ISO1250

左側の赤い胴の二刀流は、山口県の藤井先生です。
Nikon D300
SIGMA 50mm F/1.4
F2.2 1/1250 ISO1250

この写真も、左側は二刀流の東京都の宇賀神先生、右側は京都府の中川先生です。
Nikon D300
SIGMA 50mm F/1.4
F2.2 1/500 ISO1250

こちらは、島根県の永島先生(左)と兵庫県の山本先生(右)の対戦シーンです。
Nikon D300
SIGMA 50mm F/1.4
F2.2 1/640 ISO1250

こちらは、東京都の寺島先生(右)です。
Nikon D300
SIGMA 50mm F/1.4
F2.2 1/200 ISO1250

こちらは、いつも大変お世話になっている、奈良県の鴻ノ池道場の伊東先生です。
試合を待っておられるところを撮らせていただきました。
写真的には、面金の奥の伊東先生の柔和な表情とともに、黒い胴に武徳殿の内部空間が写り込んでいるあたりがポイントでしょうか?
Nikon D300
SIGMA 50mm F/1.4
F2 1/160 ISO1250

こちらは、自分の出番を待っておられる先生の横顔を狙ってみました。
明るい単焦点レンズを使って撮影しているため、暗い建物内とは思えないほど明るい写真が撮れています。
面金の奥に見える鋭い眼差しに、緊張感が漂っているように見えます。
Nikon D300
SIGMA 50mm F/1.4
F2.2 1/100 ISO1000
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- 2011/05/06(金) 13:45:51|
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